ハイパスフィルターをマスタートラックに適用して超低音域をカットする手法は、音楽制作の一部として有効な場合があります。しかし、これは楽曲や音楽のジャンル、そしてその目的によります。
超低音域をカットする目的の一つは、無駄なエネルギーを削減してヘッドルームを増やすことです。特に、人間の耳には聞こえにくい超低音域の周波数はスピーカーの動きを大きくするため、これらをカットすることで他の重要な音域にエネルギーを集中させることが可能になります。
しかし、完全にこれらの低音域をカットすると、特に電子音楽やヒップホップなどのジャンルでは音楽のパンチや力強さが失われる可能性もあります。また、ハイエンドのオーディオシステムやクラブのサウンドシステムではこれらの超低音域が再生可能であり、その音域がないと音楽体験が損なわれる可能性もあります。
したがって、超低音域をカットするときは注意が必要です。適切な周波数でカットオフすること、そしてハイパスフィルターのスロープ(急なカットオフまたはゆっくりとしたカットオフ)を選ぶことも重要です。
さらに、マスタリングフェーズでハイパスフィルターを使用する代わりに、ミキシングフェーズで各トラックに適用することを検討すると良いでしょう。これにより、各インストゥルメントの特性をより細かくコントロールすることが可能になります。ミキシングフェーズでの適用により、重要な低音成分を維持しつつ不必要な低音を除去することが可能になります。
この手法は、音楽制作において多くの場面で有効ですが、絶対的なルールではないので注意が必要です。最終的には、リスナーに最良の体験を提供するための判断が必要となります。