Name Wrapper(ネームラッパー)は、ENSの名前(.ethドメイン、サブドメイン、DNSインポート名など)をERC-1155規格のNFTとして「ラップ(包む)」するためのスマートコントラクトです。これにより、ENS名の管理や権限設定が大幅に拡張され、より柔軟で安全な運用が可能になります。
主な特徴
1. ENS名をERC-1155 NFTとして扱える
- 以前は、
.eth
のセカンドレベルドメイン(例:example.eth
)だけがERC-721 NFTとして扱われていました。 - Name Wrapperを使うことで、どんなENS名やサブドメインでもERC-1155 NFTとして管理・譲渡・取引が可能になります。
2. 所有権と管理権の統合
- ラップ前は「オーナー(所有者)」と「マネージャー(管理者)」が分かれていました。
- ラップ後は一つのアカウントがオーナー兼マネージャーとなり、管理が簡単になります。
3. 「フューズ(Fuses)」による高度な権限コントロール
- Wrapped名には「フューズ」と呼ばれる細かい権限設定ができます。
- 例えば:
- 転送や売却を禁止(
CANNOT_TRANSFER
) - サブドメインの有効期限延長の可否(
CAN_EXTEND_EXPIRY
) - 親ドメインからの管理権限を切り離す(
PARENT_CANNOT_CONTROL
)
- 転送や売却を禁止(
- これにより、サブドメインの信頼性や独立性を高める用途にも対応できます。
4. ラップとアンラップの仕組み
- .eth名の場合、ERC-721 NFTをName Wrapperコントラクトに転送→ERC-1155 NFTが発行されます。
- 他のENS名も同様にラップできます。
- アンラップ(元に戻す)も可能ですが、アンラップ権限のフューズを焼却(無効化)していなければ、という条件があります。
5. 新しいユースケースの拡大
まとめ表
機能 | ラップ前(従来) | Name Wrapper利用後(ERC-1155) |
---|---|---|
NFT規格 | ERC-721(.ethのみ) | ERC-1155(全てのENS名・サブ名) |
サブドメインNFT化 | 不可 | 可能 |
権限管理 | 制限あり | フューズで柔軟に設定 |
所有・管理権限 | 分離 | 統合 |
主な用途 | 名前付けのみ | コミュニティ、チケット、証明など |
要するに
Name Wrapperは、ENSの名前をより自由度の高いNFTに進化させ、管理や権限設定を柔軟にし、さまざまな新しい使い方を可能にする仕組みです。
ENSを使ったコミュニティ運営やサブドメイン配布、NFTとしての活用を考えている方には、非常に重要なアップデートです。