イーサリアムの「The Merge(ザ・マージ)」は、2022年9月15日に実施されたイーサリアムの大規模アップデートであり、コンセンサスアルゴリズムを従来のProof of Work(PoW)からProof of Stake(PoS)へ移行することを目的としたものです。このアップデートは、イーサリアム2.0への移行プロセスの一環として行われました。
The Mergeの概要
- ビーコンチェーンとの統合
マージでは、2020年12月に稼働を開始したPoSベースの「ビーコンチェーン」と既存のメインネットを統合しました。この統合により、イーサリアム全体がPoSによる運用に移行しました。 - コンセンサスアルゴリズムの変更
PoWでは膨大な電力と計算能力が必要でしたが、PoSは暗号資産(ETH)をネットワークにステークすることで合意形成を行います。この仕組みによりエネルギー消費が約99%削減され、環境に優しいネットワークが実現しました。
The Mergeによる主な変化
- エネルギー効率の向上
PoSへの移行により、電力消費が大幅に削減され、サステナブルなネットワークへと進化しました。 - セキュリティの強化
PoSではネットワーク参加者が増加し、分散化が進むことでセキュリティが向上。また、51%攻撃に必要なコストも増加し、安全性が高まりました。 - 供給量の変化
PoSではマイニング報酬が減少するため、新たなETHの供給量が抑制され、インフレ率低下や価格上昇への期待も生まれています。
課題と今後の展望
- 取引手数料問題
The Merge自体では取引手数料の削減は実現せず、この課題は次段階の「シャーディング」によって解決される予定です。 - 今後のアップデート
創設者ヴィタリック・ブテリン氏によれば、The Merge後もイーサリアムは進化を続け、「Surge」「Verge」「Purge」などさらなるアップデートが予定されています。
The Mergeはイーサリアムにとって歴史的な転換点であり、トリレンマ(分散化・セキュリティ・スケーラビリティ)の解決を目指す重要な一歩となっています。
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