単に演奏権管理団体(PRO)に登録することと、BeatStars Publishingを利用することの違いについて解説する。
目次
1. サービスの範囲
PRO(ASCAP、BMI、IMROなど):
- 公共での音楽使用(ラジオ、ストリーミング、ライブイベントなど)に対する演奏権使用料を収集する。
- 機械的著作権使用料(ストリーミングや販売から発生する収益)やシンクライセンス(映像作品での使用許諾)には対応していない。
- 楽曲の登録やその他の収益管理はアーティスト自身が行う必要がある。
BeatStars Publishing:
- Sony Music Publishingとの提携により総合的な出版管理サービスを提供。
- PROを通じた演奏権使用料だけでなく、機械的著作権使用料もグローバルに収集。
- シンクライセンスの機会を提供し、複数の収益ストリームを一元管理可能。
2. ロイヤリティ収集
PRO:
- 演奏権使用料のみを収集し、作家分(Writer’s Share)と出版社分(Publisher’s Share)に分配。
- 作家分は100%受け取れるが、出版社分は別途出版管理者を設立していない場合は受け取れない。
BeatStars Publishing:
- 演奏権使用料と機械的著作権使用料を収集。
- 一部ロイヤリティは以下の割合で分配:
- 機械的著作権使用料: 80%受け取り。
- 演奏権出版社分: 60%受け取り。
- 演奏権作家分: 100%保持。
- シンクライセンス: BeatStarsが仲介した場合は65〜80%受け取り。
3. 管理の手間
PRO:
- 各楽曲を手動で登録し、グローバルな収益や機械的著作権使用料は別途管理者が必要。
BeatStars Publishing:
- 楽曲を一度登録すれば、PROや他の収益管理団体への登録を代行。
- 複数の収益源を統合管理できるため、手間が軽減される。
4. 独占性
PRO:
- 非独占契約。追加サービスが必要な場合は他の管理者と併用可能。
BeatStars Publishing:
- 契約期間中は独占的な管理契約が必要。全ての楽曲がBeatStars/Sony Music Publishingによって管理される。
5. その他の特徴
PRO:
- 演奏権使用料の収集に特化。他のサービス(シンクライセンスなど)は提供しない。
BeatStars Publishing:
- シンクライセンス機会やアーティスト間コラボレーションの場を提供。
- 出版関連収入を一元化して管理可能。
まとめ
単純に演奏権使用料のみを管理したい場合や、自身で楽曲管理を行いたい場合はPROへの直接登録で十分。一方で、グローバルなロイヤリティ(演奏権+機械的著作権)を効率的に管理し、シンクライセンスなど追加機会も活用したい場合は、BeatStars Publishingが包括的な選択肢となる。ただし、一定の収益割合が引かれる点や独占契約が必要な点には注意が必要。
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