ディエッサー(De-Esser)は、音楽制作や音声処理の分野において、特定の周波数帯域、特に「サ行」や「シー」という音に含まれる高周波のノイズ(シビランス:sibilance)を抑えるためのエフェクトやプロセッサーのことです。音声やボーカルトラックにおいて、これらの高周波成分が過剰だと耳障りに感じられることがあり、それを調整するために使用されます。
ディエッサーの仕組み
- 問題となる周波数帯域を検出
主に5kHz~10kHzあたりの周波数帯域が、シビランス音(s, sh, t など)として目立つことがあります。ディエッサーはその周波数帯域を特定し、強調された部分を抑えます。 - ダイナミックな抑制
シビランスが発生した瞬間にのみ、その特定の帯域を圧縮(ゲインリダクション)することで、音声全体の自然さを保ちながらノイズを低減します。
使用場面
- ボーカルのミキシング: レコーディングされたボーカルの「サ行」や「シッ」という音が耳障りな場合、それを抑えるために使います。
- ナレーションやポッドキャスト: 話し声でもシビランスが目立つ場合、ディエッサーを利用して聴き心地を向上させます。
- ラジオやテレビ番組: プロフェッショナルな音響制作においてもディエッサーは非常に重要です。
ディエッサーの設定ポイント
- 周波数の選択: シビランスが発生している特定の周波数帯域を見つけることが重要です。
例: 女性ボーカルでは6~8kHz付近、男性ボーカルでは5~7kHz付近が一般的です。 - スレッショルド(Threshold): シビランスを抑える強さを調整します。
- リダクション量: 抑えすぎると音がこもって不自然になるため、適度なバランスを心がけます。
主なディエッサープラグイン
- Waves DeEsser: 定番のディエッサープラグイン。
- FabFilter Pro-DS: 高精度で柔軟なコントロールが可能。
- iZotope Nectar: ボーカル専用のツールで、ディエッサー機能を搭載。
- Logic ProやPro Toolsの内蔵ディエッサー: DAW付属のディエッサーも十分に使用可能。
ディエッサーを使うことで、シビランスを適切に制御し、よりプロフェッショナルな音に仕上げることが可能です。ただし、過剰に使うと音が不自然になるため、耳で確認しながら少しずつ調整するのがおすすめです!
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